2011年12月25日

性夜

女の手が私を挑発している。
薄明かりの中で、私の全身をひとつひとつ確かめるように、その細い指で。
髪を掻き分け項をまさぐり、耳の孔を侵し、耳朶を蹂躙し、鼻を、唇を、弄ぶ。
首を、胸をなぞり、臀部までも。そして、私の唇を開けて、舌までも弄る。
「あなたのすべてが愛しいわ」女の唇が私の唇を塞ぐ。
両の手が私のあらゆる場所を撫で、激しく掴み、舌が私の舌に絡みつく。
悶えるような女の肉体は、私の肉体にしがみつき、感応の息を漏らした。
しばらくの間、口唇による交歓が行われた後、舌による挑発を加えて、女の両の手は下へ下へと移動していった。臍を、臀部を挑発し、そして敏感な部分へと指は伸びる。
「あなたの身体が愛しいの」指が私の敏感な部分を挟み込み、上下に動く。硬くなった内部では、体液が蠢いている。
「とてもかわいいわ。かわいくて愛しいのよ」女の唇が硬くなった部分を覆う。
ゆっくりと女の頭が動き、ぬるりとした感触が神経を伝って上昇してくる。
口からは唾液が溢れ、根元を濡らしている。
ときに唇から離し、舌を這わせる。丁寧に、軟体動物のように。ぬめり、ぬめりと。
官能的な昂りが彼女をも濡らしていく。
女の薄い花びらに指を伸ばすと、潤いが蜜となり、滴ってきた。
甘い声を漏らし。
私は女の臀部を私の顔の上に跨がらせ、薄い花びらを丁寧に舐めた。
女の私をふくんだ唇からは声が、鼻からは儚げな息が漏れた。
「いいの」
女は私の愛撫を受けるほどに、甘い声を漏らしながら、激しく返して寄越した。
品のない食べ方のように、音を立てて。
「まだ、だめよ」
その濃厚な愛撫に吐精しそうになると女は意地悪く爪を立てた。
そして、しばらくすると私の硬い部分を下の唇で飲込んだ。
豊かに潤った唇は、舐めるように飲込み、奥の間へと招き入れた。
「気持ちいいわ」
女がゆっくりと腰を前後に動かす。ねちょりとした触感が昇ってくる。
前へ、後ろへと動き、しだいに速くなってきて、潤いが私の下腹部に広がった。
甘く、無防備な声が漏れる。
腰は私に適度な圧迫感を与えながら、官能的な昂りを連れてくる。
「いいわ」
女はそう言って体位を変えた。
くるりと私に背を向け、臀部をこちらに見せながら、上下に揺れる。
薄い明かりの中で、臀部と脚の付け根の隙間に私と女との唯一の結合点が見えた。
淫らな音を立てる水よりも高い粘土を持った体液の存在がその辺りに捉えられた。
上下に動く臀部は激しさを増し、女の声が次第に大きくなっていく。
そして、一瞬の痙攣とともに声が途切れ、腰が落ちた。
私は彼女を下ろすと愛しい部分をゆっくりと口唇で愛撫した。
歓喜の声が漏れてきた。
私は女の上に被さるとその濡れた部分に再び潜り込み、愛液による淫らな音を響かせた。
夜の間、私たちはそんな行為を繰返し、淫らな時間を過ごした。
12月24日のことだった。

posted by flower at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 淫詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月17日

朝食

「次はK市にお住まいの、ペンネーム・トナカイさんから。数年前のこと。当時付き合っていた彼女とのイブデートに、笑いを取ろうと上下赤い服(スーツ)で行ったのですが、シャイな彼女はずっと不機嫌そうで、せっかく予約したフレンチの店でも一切盛上がらず、帰り道で『前からあなたのそういうお調子者的な性格が合わないと思っていたの』と切り出され、別れ話に。サンタが仕事を終えて休んでいる頃、私はひとり明石家サンタを見てました」昼下がりの誰もいない店内にはラジオが流れていて、若くないDJがクリスマスの失敗談を読み上げている。
マスター、微かに笑いながら真白い皿の上に、カリカリに焼いた厚めのベーコンとスクランブルエッグ、くし形にカットしたトマトをのせる。その皿の脇にはキツネ色したトーストが2枚。
「モーニングみたいですね」とバイトの女の子。二つ並べたカップにコーヒーを注いで。
「何かね、昨日の夜食べものの本読んでたら食べたくなって。いつも朝食べないから、昼に食べようと思って」マスター、カップを女の子から受け取る。カウンターに立ったままトーストにバターを塗り、齧る。
「亜沙美さんは毎朝ご飯食べてる?」モグモグと口を動かしながら。トーストを持っていない方の手で掴んだフォークがスクランブルエッグの山を崩す。
「そうですね、大体毎朝食べてます」女の子の前には、ホワイトソースがかかった大きなオムライスが置かれている。隣にはハンバーグとコロッケとわずかばかりのサラダ。
「一応、育ち盛りですからね」女の子、大胆にスプーンをオムライスに突き刺して、スプーンの上にのったチキンライスを豪快に頬張る。
「寒い季節はホワイトソースがいいですね」満足そうに頷いて、ハンバーグへスプーンを伸ばす。そして、大胆にハンバーグをカットして口の中へ。
「朝は食べないとダメですよ。身体がエネルギーを欲してますから」口を動かしながら、ガツガツと食べる。。
「亜沙美さんの場合、栄養が過剰な気がするんだけど」
「失礼ですね」女の子の頬が膨らむ。
「ご飯を食べないと身体のサイクルがおかしくなっちゃうんですよ。朝からしっかり食べるのが重要なんですから」
「まぁ、それは一理あるね。それは彼女にも言われるんだけど、夜飲んじゃうと、朝から食べる気がしなくて。だから、朝はフルーツジュースとかだね。たまにシュークリームとか摂取しちゃうけど」
「ダイエット中の女子みたいですね」
「ダイエット中って言ってる女子は、実際はよく食べてるような気がするんだけど」と、ちらっと女の子を見る。
「朝、ガッツリ食べて、昼もきちんと食べてこその健康的なダイエットですから」
その言葉にマスターの口から小さな笑いが漏れる。
「ちなみに亜沙美さんの朝食ってどんなのなの?」
マスター、ベーコンをナイフとフォークで切り、パンにのせて齧る-。
「まちまちですけど、やっぱり和食かな。田舎からいつも大量にお米が贈られてくるんですけど、一緒に贈られてくる朝のお供シリーズが充実しているんですよ。お漬物とか干物とか、佃煮とか。だいたい三膳くらいは食べちゃいますね。実家から贈られてくるものは何でも美味しいですから。他に味噌汁が付きます」
「今日も?」
もちろん、とでも言うように、コロッケを齧りながら大きく頷く女の子。
そして「食事を楽しんでこその人生ですから」と口をモグモグさせながら力強く。
マスターが笑いを留めるようにコーヒーカップに口をつけて。
昼下がりのラジオからはクリスマスソングが流れてきて。

posted by flower at 17:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 喫茶 ベダード   | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月03日

氷雨の記憶

窓の外では雨が降っています。
しとしとと、しとしとと。針のように細い雨が。
貴女は、晩秋と云うには遅過ぎる、そんな雨の雫で濡れた窓を眺めて、ぼんやりと。
貴女と私の間にはティーカップがふたつと、ティーポットがひとつ。
他には豊かなバターの香りを漂わすマドレーヌがみっつ。
そして、古い映画の雑誌が貴女の手元に。
「子どもの頃の記憶なんだけど。おばあちゃんに連れられて、古い映画を観にいったの。
もうその映画館はなくなってしまったんだけど。たぶん、フランス映画。
作品の名前は覚えてないわ。映画の内容も。
だけど、そこに出ていた女優さんがとても綺麗で。
たまに思い出すの、女優さんの顔を」
長い睫毛の大きな瞳は窓の方を向いたまま。
言葉がぽつりぽつりと雫のようにこぼれて。
「もしかしたら載っているかもって思って、古い映画の雑誌を見つけたら買ってみるんだけど、全然載っていなくて」
「映画のシーンで覚えているのが、カフェーで街を眺めているところ。
紅茶とマドレーヌがテーブルの上に置いてあって、落着いたジャズのレコードを聴きながら雨の降る街を、ガラス越しに眺めていて。
もう来ることのない大切な人を、探しているの。
もしかしたら、あの人はまだ、そんなふうに思いながら」
「何でもないようなシーンなんだけど、不思議と印象に残っているわ。
たぶん、女優さんの寂しそうな顔が、とても綺麗に写っていたのと、自分から遠い大人の世界がそこにあるような気がしたから、なんだと思う」
「何年か前、おばあちゃんとそのときの話しになってね。
映画を観たあとに、ふたりで喫茶店に入ったんだけど。
いつもはココアとホットケーキを頼むわたしが、そのときは紅茶とマドレーヌを頼んだのを覚えているって。紅茶の種類もわからないのに、気取ってたって」
貴女はそう言って、可愛らしい笑みを浮かべて。
私は、そんな貴女を見つめながらティーカップを口に近づけて、アールグレイの匂いを楽しむ。
「それともうひとつ、そのときの映画のことで覚えているのが、おばあちゃんが泣いていたということ。
おばあちゃんは、とても厳しい人ってみんなに思われていたの。
わたしにも厳しかったけど、でもふたりでお出かけしたり、お茶をしたりしたわ。
みんなが思っているほど怖い人ではなくて、ユーモアも、茶目っ気もあるひとだった。
そんなおばあちゃんが、映画館の暗闇の中で、そっと泣いていたの。
主人公が雨の降る街を眺めている、そのシーンで。
後で知ったのだけど、おばあちゃんは、本当は好きな人がいたんだって。おじいちゃんではなくて、結婚するもっと前に。
だけど、画家になる夢を追いかけて、船に乗ってヨーロッパへ行ってしまって。
そして、向こうで亡くなってしまったんだって。
わたしが大きくなってから話してくれたわ、みんなには内緒よって。女の約束なんだからって。
この季節の、雨の日になると、そんなことを思い出すの。おばあちゃんとの最後のデートを」
あなたの小さな赤い唇から、わずかに息が漏れて。
大きな瞳を少しだけ潤ませて。
窓の外では冷たい雨が。
posted by flower at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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