2012年04月29日

夜の言葉

「ああ、あなたにこそ、かつて地上に輝いたどんな愛よりも清らかな愛がささげられるのです」

「こうやって、身体を寄せ合って坐っていると、言葉の力で、一つに融け合うようだね」

「あなたの燃える手で あたしを抱きしめて ただ二人だけで 生きていたいの」

「あなたのことばっかり考えながら眠るわ、あなたのことばっかりね」

「わたしは太陽、君は月。わたしは利鎌のような新月、君は金色の星」

「きみはいい香りがするよ。きみの香水は好きだよ」

「ぼくは君を−−二度と放さない−−」

「君が美しいから、今夜は、何度も君を抱きたくなるだろうな」

「私はあなたの手足をキスで暖めよう、それが燃えるようになるまで」

「君の体は、ビロードケースの中のヴァイオリンのようだ」

「この匂いを忘れていないよ。八年たった今でも」

「ぼくのものになるんだ。いとしい人」

「もう少し暗くできないの」

「ガードルをはずして、パンティを脱ぎなさい」

「君の唇は甘いよ、果物みたいな色合いをしている」

「僕は君をいだいて、口紅の木いちごの味をあじわいたいと思っている」

「プレゼントなんか欲しくないわ。欲しいのはあなたよ。あなただけ」

「今晩は君すばらしくきれいだぜ」

「すごくしつっこくしてほしいのよ」

「君はきれいだよ。さあベッドに横になろう」

**********************
書物に刻まれた夜の言葉である。
男女の色恋を花に置き換えたなら、人類史は花ばかりであろう。
そして、宇宙から見たなら、青い星には色とりどりの花が咲き乱れていて−−。
まさに、百花繚乱なり。

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2012年04月22日

靡香

いい香りのする女だった。
革張りのソファーに長い四肢を持て余すように腰掛け、ときおりアニスの匂いをとどめたアルコールを口に運んでいる。
身に付けているものは紫の薄いキャミソールのみだった。乳房が透けている。
細すぎも、太すぎもしない四肢、潤いを保った白い肌、漆のような黒く艶やかな髪−−姿態を構成する一つひとつも十分に魅力的だったが、項の辺りから漂う沈丁花のような甘い香りが、私を挑発した。

私は彼女の隣に腰を下ろすと、何度も甘い香りを楽しんだ。
女は昂って行く私を楽しむように、私の耳元へ口を寄せて耳朶を噛み、そしてその香りを私の鼻腔に突きつけた。
女は言う。「素敵な香りでしょう」と。
私は肯定を返す代わりに、女の項に舌を這わせた。
女の口から甘いため息が漏れ、次に私の耳孔へ舌が捩じ込まれた。
言葉を発することもなく、黙々と縺れ合う。
しばらくすると細長い指が伸びた彼女の掌が私の顔を包んだ。
「もっと別なところも試してみる?」
女の魅惑的な言葉はさらに私を欲情させる。
そして「世界中の何よりも、素敵な香りよ」と淫らな笑いを漏らした。
女は長い脚を開き、私の頭を迎える。
日陰に咲いた牡丹のような花が私の視界に入り、臭覚は、最前の沈丁花の如き香りよりも甘いものを捉えた。
「もっと楽しみなさい」
女は芳しき香りの源泉を露にし、私をさらに煽るように淫らな行為を始めた。
右の手の二本の指が膨らんだ紫の蕾みを摘む。
左の手の二本の指は紫のキャミソールの下に潜む乳房の、過敏な尖端を摘んでいる。
淫らな声が漏れだすとともに、さらに甘い香りが漂いだした。
私は自身の欲情に屈したように、女の泉に舌先を伸ばした。
水銀よりも妖しく、水よりも濃い液体が舌を伝って口中に入ってきた。
女は言う。「もっと楽しみなさい」と。
私はその言葉に駆り立てられ、淫らな音を立てながら甘い香りのする液体を啜った。
互いの昂りが昇りつめる頃、女は私の頭をその両手で包み、自身の唇へと導いた。
柔らかい肉感が私の唇を迎えた。舌が縺れ合い、互いの肉体を互いの四肢がまさぐる。
「今度はわたしにも楽しませて」潤んだ瞳が私を見つめる。
両の手で硬直した私の肉茎を引き出すと、厚みのある艶かしい唇で捉えた。
キャンディーを楽しむように舌の先を絡ませて、音を立てる。
恍惚とした感覚が脊髄を昇り、脳に堆積する。官能の情感が私の口から息となって溢れた。

しばらくすると女は私を寝かせ、その上に跨がった。
硬直した肉茎が、濡れた華芯に収められる。花びらに包み込まれる。
女の口から、またしても淫らな息が漏れた。

空間中に甘い香りが充満していた。
行為が終わってもその香りは私を刺激し、青い茎を萎ませることはなかった。
女は言う。「どんな香水よりも、わたしは官能的なのよ」と。
私は女を抱き寄せ、その項に何度も口づけを施した。
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