2013年10月19日

殺しの手帖

1 路地
道路に落書きをする男。
そこに書かれる文字。
 人生を切り売りする時給800円
 歩けども黒い道止まれども黒い道
 犬でさえ棒に当たり私は案山子
 山の向こうに幻の祖国
 猫ばかりに視線が注ぐ橋の下
 人は落ちてどこへ行く蒼い園か
 死ね死ね死ねと云われるでもなく
 カラスにも帰る家
 電車から下りても宛てなどなけれ
 ハッパをくれハッパをくれ世界から消える為に


2 家
ハッパを吸っている女。
インターホンが鳴っているが無視している。
と、女の足下に並べられたカラフルな服。
 女:私は今、神と対話しているのだ。
   神は仰っている。
   『世界に革命を起こせ』と。
   『世界に革命の火を灯せ』と。


3 河原
黙々と石を積み上げる男女。
 男:積上げる石もなく。
 女:積上げられるは虚しき人生。
石には細かい履歴書のようなものが書かれている。
 男:私は未来に嘘を吐く。
 女:私は嘘の道を歩む。


4 街角
ギターを弾く男。
 声:この街にはロバート・ジョンソンが居る。
   歌うのはもちろんブルースだ。
   魂に空っ風。



5 家
小銭を並べる女。
 女:母親は金が一番だといつも云った。
   公務員になりなさいと。
   私は頑張ってなった。だけど、人生は最悪だ。
   金は貯まれども、私は小人。


6 アパートの階段
上がったり下りたりしている女。
 女:この中に幸せはありますか。
   この中に幸せはありますか。


7 部屋の中
縛られて倒れた男。
 声:縛られると云う行為は時として快楽である。
   人生を考えるよりも、箱の中に踞る方がどんなにか幸せだ。


8 公衆電話
 声:ピンクの電話も、緑の電話もなくなった。
   あるのは灰色の、デジタルの電話だ。
   会話までもがデジタル化されて。
   あなたに届くは、偽の声。


9 喫茶店の窓辺
コーヒーポットに溜まっていくコーヒー。
緑色の紙を挟んで退屈そうな男と女。
 男:きみのことが嫌いになったんぢゃないんだ。
   二人の間に黒い時間が堆積しただけなんだ。
 女:ウソツキ。
 男:僕が嘘を吐いたんぢゃない。
   世界が嘘ばっかりだったってそれだけさ。


10 洗面所
鏡に向ってピストルを構えている男。
 男:手を上げろ。
   今からオレはたったふたつの簡単な質問をする。
   イエスかノーで答えろ。
   それ以外なら撃つ。
   ひとつ、お前は生きてるのか。
   ふたつ、人生は愉しいのか。


11 朝の街
ベンチに腰掛けビールを飲んでいる男。
その隣で花びらを千切っている女。
 女:ひとつ千切っては母の為。
   ふたつ千切っては父の為。
   みっつ千切っては祖母の為。
   よっつ千切っては祖父の為。
   いつつ千切っては姉の為。
   むっつ千切っては兄の為。
   ななつ千切っては彼の為。
   やっつ千切っては誰の為。
   ここのつ千切って誰の為。
   千切れるばかりで私は居ない。
   朝日が昇って月が消え、死んだ私の影が伸び


12 公園
野良猫。


13 茶の間
正座してテレビを観ている男。
ブラウン管には砂嵐。


14 駅前
携帯電話で話している人の隣で糸電話で話す二人。
 声:携帯電話と糸電話。
   伝える言葉の重みはどちらが重いのだろうか。
   温もりはどちらが伝わるのだろうか。


15 街
街角に花を並べていく女。
 女:私はこの世界に火を灯す。
   花は起爆剤で、心の中に火を灯すのだ。


16 野原
倒れた男。
 男:酒をくれ、酒をくれ。
   今日を忘れる酒をくれ。
   明日を見させる酒をくれ。


17 回想
キッチンのドアを開けると包丁を握りしめ見つめる女。
 声:或る日見た母の姿は、私への呪いへと変わった。


18 川沿いの道
聖書を朗読する男。


19 台所
米を磨ぎ続ける女。
 女:磨いでも磨いでも白く濁る。
   トイデモトイデモ、トイデモ、シロクニゴルノ。
   佐々木サンが、私のことイヤラシい目で見るの。
   あぁ、イヤだ。
   こんな白いのはどっかに行っちまえば良いのに。


20 細い路地
道路に『キャラメル食べて、300メートル』の文字。
空き缶が転がっていく。


21 部屋
丼に入ったラーメンを啜る男。
 男:飯を食うのは何の為。明日が来るのは誰の為。
    お前ぇには、開く夢などあるのかい。


22 インクライン
線路の枕木の上を歩く男。
 声:昔は列車が走ったこの場所も、今では寒い風ばかり。
   温もりを求めるならどこへ行けば良いですか。
   愉快に笑うテレビの中かい。
   キレイに輝くネオン街かい。
   灯りの点いたリビングかい。
   温もりはどこにあるんだい。教えてくれよ。
--------------------------------------------------------------------------------
人類は、世界によって殺められ、と云えば虚しき神無月。

posted by flower at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月11日

備忘録

路地裏の牧師は云う。
「自然界に直線は存在しない。だから、人生も真直ぐに進みえないのだ」と。
続けて神父は云う。
「紆余曲折を経て、神により決められた何処かに辿り着く。そう云うものなのだ、人生とは」と。
憂鬱も人生に於いては、何処かに辿り着く過程のひとつなのだろうか。

先日逮捕されたK氏の、猟奇的な犯行の動機は
「愛が欲しくて、唇を奪ってしまいたくなった」と云うものだった。
そのために、何人もの唇が彼の手によりより奪われてしまった。
果たして彼は幸せを感じることはできたのだろうか。

夢の世界に埋没しても、寂しい現実が私を追いやる。

ミルキィが母の味なら
父の味は何だろう
マイルドセブンか神の河か
苦くつらい思い出か

愛情と憎しみが冬の泥濘のように混じってしまった。
日常は灰色で、身体を重ねても、心は何マイルも離れているようだった。

「愛してる」と十回云っても互いの肉体は冷たいままだった。
手と手を重ねても、風が吹けばどこかへ飛んでいく奴さんのようで、ただただ知らないフリをすることで存在をつなぎ留めていた。

猫氏曰く「誰も信じられなくなったなら、自分の顔を見つめる以外にない」とのこと。

「愛を求めても、愛し方を知らなかったら、小鳥のように飛んでいってしまうよ」

私はあの人が残していったコーヒー豆をミルにかけ、ゆっくりとドリップしてみた。
焦げ付いた時間のような、黒っぽい液体がサーバーに溜まり、あの人の口紅がついたカップに注いで飲んだ。
苦さばかりが口の中に広がる。
憂鬱と寂しさがない交ぜになった味だった。

あの人の白い肌。
あの人の黒い髪。
あの人の大きな目。
あの人の柔らかい唇。
あの人の細く長い四肢。
あの人の果実のような香り。
夏の夜はそんな記憶ばかりを私に突きつけてくる。

posted by flower at 03:30| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月09日

ユートピア

「宇宙まで何マイル? 世界の果てってどこなんだい?」
「宇宙なんてすぐそこさ。ゆうべ見た夢の中さ」

「金の重さは理不尽過ぎるよ」
「それこそが、相対性理論だろう」

「ユートピアを思いついたんだ、この世界の現実をすべて消しちまえばいいんだ」
「それならば、自分が消えちまうのが手っ取り早い」

「世の中で、もっとも天国に近い存在は酔っ払いだぜ」

「人生がうまくいった試しなどないよ」
「地球の遠心力に振り回されているんじゃないのか」

「アンドロメダよ、我に希望を」
「希望なんてものは、天の川で流れちまった」

「ジャズも、ブルースも、ロックも、クラシックもあらゆる音楽は殺されてしまった。
容疑者は資本主義という大悪党の金と名誉。そして、ちっぽけなプライドだ」

「現代人は、夢の中まで蝕まれてしまった悲しき生き物さ」

「死んだ人の魂が夜空の星になるならば、金星の近くに居るのは政治家だろう」
「だったら、ブラックホールの傍に居るのは、貧乏人だね」

「凡人てのは、形骸化した現実ばかりを取り出したがる」

「この世界の太陽は蝕まれたままではないのだろうか」

世界から殴られ続けた結果、私はマゾヒストになってしまった。
世界よ、もっと私を殴ってくれ。
気が狂うほどに。
明日を見失うほどに。
希望を喪失するほどに。
夢などもう見ることがないように。
大銀河が暗黒に塗り込められてしまうほどに。

「地球の軸が傾いてしまったばっかりに、この世界は正しい循環を失ってしまった」
「最初から正しい循環などなかったんだ。すべては予め決められた、神の御心さ」

「ロマンスを日常に持ち込むなんてのは簡単さ。すべてに文学性をくっつけちまえばいいんだ。デュシャンのサインの如く、あらゆるものにさ。
本には悲しき思い出を、レコードには懐かしい記録を。テーブルには温かい食事の、ベッドには横溢する生命の記憶を、そんなぐあいに」

posted by flower at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月29日

夜の言葉

「ああ、あなたにこそ、かつて地上に輝いたどんな愛よりも清らかな愛がささげられるのです」

「こうやって、身体を寄せ合って坐っていると、言葉の力で、一つに融け合うようだね」

「あなたの燃える手で あたしを抱きしめて ただ二人だけで 生きていたいの」

「あなたのことばっかり考えながら眠るわ、あなたのことばっかりね」

「わたしは太陽、君は月。わたしは利鎌のような新月、君は金色の星」

「きみはいい香りがするよ。きみの香水は好きだよ」

「ぼくは君を−−二度と放さない−−」

「君が美しいから、今夜は、何度も君を抱きたくなるだろうな」

「私はあなたの手足をキスで暖めよう、それが燃えるようになるまで」

「君の体は、ビロードケースの中のヴァイオリンのようだ」

「この匂いを忘れていないよ。八年たった今でも」

「ぼくのものになるんだ。いとしい人」

「もう少し暗くできないの」

「ガードルをはずして、パンティを脱ぎなさい」

「君の唇は甘いよ、果物みたいな色合いをしている」

「僕は君をいだいて、口紅の木いちごの味をあじわいたいと思っている」

「プレゼントなんか欲しくないわ。欲しいのはあなたよ。あなただけ」

「今晩は君すばらしくきれいだぜ」

「すごくしつっこくしてほしいのよ」

「君はきれいだよ。さあベッドに横になろう」

**********************
書物に刻まれた夜の言葉である。
男女の色恋を花に置き換えたなら、人類史は花ばかりであろう。
そして、宇宙から見たなら、青い星には色とりどりの花が咲き乱れていて−−。
まさに、百花繚乱なり。

posted by flower at 16:37| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月03日

氷雨の記憶

窓の外では雨が降っています。
しとしとと、しとしとと。針のように細い雨が。
貴女は、晩秋と云うには遅過ぎる、そんな雨の雫で濡れた窓を眺めて、ぼんやりと。
貴女と私の間にはティーカップがふたつと、ティーポットがひとつ。
他には豊かなバターの香りを漂わすマドレーヌがみっつ。
そして、古い映画の雑誌が貴女の手元に。
「子どもの頃の記憶なんだけど。おばあちゃんに連れられて、古い映画を観にいったの。
もうその映画館はなくなってしまったんだけど。たぶん、フランス映画。
作品の名前は覚えてないわ。映画の内容も。
だけど、そこに出ていた女優さんがとても綺麗で。
たまに思い出すの、女優さんの顔を」
長い睫毛の大きな瞳は窓の方を向いたまま。
言葉がぽつりぽつりと雫のようにこぼれて。
「もしかしたら載っているかもって思って、古い映画の雑誌を見つけたら買ってみるんだけど、全然載っていなくて」
「映画のシーンで覚えているのが、カフェーで街を眺めているところ。
紅茶とマドレーヌがテーブルの上に置いてあって、落着いたジャズのレコードを聴きながら雨の降る街を、ガラス越しに眺めていて。
もう来ることのない大切な人を、探しているの。
もしかしたら、あの人はまだ、そんなふうに思いながら」
「何でもないようなシーンなんだけど、不思議と印象に残っているわ。
たぶん、女優さんの寂しそうな顔が、とても綺麗に写っていたのと、自分から遠い大人の世界がそこにあるような気がしたから、なんだと思う」
「何年か前、おばあちゃんとそのときの話しになってね。
映画を観たあとに、ふたりで喫茶店に入ったんだけど。
いつもはココアとホットケーキを頼むわたしが、そのときは紅茶とマドレーヌを頼んだのを覚えているって。紅茶の種類もわからないのに、気取ってたって」
貴女はそう言って、可愛らしい笑みを浮かべて。
私は、そんな貴女を見つめながらティーカップを口に近づけて、アールグレイの匂いを楽しむ。
「それともうひとつ、そのときの映画のことで覚えているのが、おばあちゃんが泣いていたということ。
おばあちゃんは、とても厳しい人ってみんなに思われていたの。
わたしにも厳しかったけど、でもふたりでお出かけしたり、お茶をしたりしたわ。
みんなが思っているほど怖い人ではなくて、ユーモアも、茶目っ気もあるひとだった。
そんなおばあちゃんが、映画館の暗闇の中で、そっと泣いていたの。
主人公が雨の降る街を眺めている、そのシーンで。
後で知ったのだけど、おばあちゃんは、本当は好きな人がいたんだって。おじいちゃんではなくて、結婚するもっと前に。
だけど、画家になる夢を追いかけて、船に乗ってヨーロッパへ行ってしまって。
そして、向こうで亡くなってしまったんだって。
わたしが大きくなってから話してくれたわ、みんなには内緒よって。女の約束なんだからって。
この季節の、雨の日になると、そんなことを思い出すの。おばあちゃんとの最後のデートを」
あなたの小さな赤い唇から、わずかに息が漏れて。
大きな瞳を少しだけ潤ませて。
窓の外では冷たい雨が。
posted by flower at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月17日

百合

Lilium amabile
Lilium alexandrae
Lilium arboricola
Lilium auratum
Lilium bolanderi
Lilium bosniacum
Lilium brownii
Lilium bulbiferum
Lilium callosum
Lilium canadense
Lilium candidum
Lilium carniolicum
Lilium cernuum
Lilium chalcedonicum
Lilium columbianum
Lilium concolor
Lilium davidii
Lilium distichum
Lilium formosanum
Lilium grayi
Lilium hansonii
Lilium henryi
Lilium humboldtii
Lilium iridollae
Lilium japonicum
Lilium kelloggii
Lilium kelleyanum
Lilium lancifolium
Lilium ledebourii
Lilium leichtlinii
Lilium leucanthum
Lilium longiflorum
Lilium maculatum
Lilium majoense
Lilium maritimum
Lilium martagon
Lilium medeloides
Lilium michauxii
Lilium michiganense
Lilium monadelphum
Lilium nanum
Lilium neilgherense
Lilium nepalense
Lilium nobilissimum
Lilium occidentale
Lilium oxypetalum
Lilium pardalinum
Lilium parryi
Lilium parvum
Lilium pensylvanicum
Lilium philadelphicum
Lilium philippinense
Lilium polyphyllum
Lilium pomponium
Lilium pumilum
Lilium pyrenaicum
Lilium regale
Lilium rosthornii
Lilium rubellum
Lilium rubescens
Lilium sargentiae
Lilium souliei
Lilium speciosum
Lilium sulphureum
Lilium superbum
Lilium wallichianum
Lilium wardii
Lilium washingtonianum
Lilium wenshanense
Lilium xanthellum

-----------------------------------------------------------

どんなに百合の名前を並べようとも
あなたの名前よりも高貴なものはない、
とピノッキオは言ったために
あんなにも長い鼻になってしまったのだとか。

「百合の香りの中で死んでしまいたいと思うことがあるの」

「私の帰る家はあの中にしかないのです」と彼女はカサブランカを指さした。

百合のような女だった。真白い肌に、真赤な唇。芳しき香り。だが彼女の名前はクロッカスだった。

「大天使ガブリエルよ、私にもその花を分けてはくれまいか」と欲深な叔母は教会でも欲を張ることを忘れなかった。

私の田舎には、百合の下には蛇がいる、と云う言伝えが存在する。

「心臓の代わりに百合の根を入れてみたんだ」
クロッカスはそう言って眠ってしまった。
posted by flower at 09:54| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月15日

乳房に関するメモ

ルネサンス時代のヴェネツィアでは、女性のバストを剥き出しにすることが政府により奨励されていた。
男性の政治への関心を遠ざけるためだったとか。

古代エジプトでは細いバストが、
古代ギリシア・ローマ時代には豊かに盛り上がった乳房が、
18世紀のロココ時代には、掌サイズの林檎のような乳房が好まれた。

ロココ時代の貴婦人はミルク風呂に入り、香油で入念にマッサージをし、
出かける際には、胸元に白粉をはたき、乳房にほんのり紅をさしていた。

フランス宮廷では乳房をかたどったワイングラスが流行った。

王妃マリー・アントワネットは、自身の豊満なバストを石膏にとり、プラチナの果物皿を作らせた。

マリーのバストは109、ウェストは58。

聖母マリアの乳にはあまたの病気を癒す力があると信じられている。

魔女狩りの際に、定数外乳房は魔女の証とされた。

1885年の労働博覧会では、人工乳房が展示され、偽乳房の「マミフ」は当時の女性の間で流行った。マミフは空気で膨らませるものであったため破裂することもしばしばだったという。

古代では女性の乳房は豊穣を表した。

15世紀後半に登場したアニェス・ソレルの肖像画は、乳房が性的魅力のあるものとして描かれ、人々に衝撃を与えた。

古代ギリシアにおいてはブラジャーの原型と見られるものが存在していたとか。

中世のフランスでは、胸よりも脚の方が性的なものとして見られ、脚による性戯が密かに流行った。


posted by flower at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月18日

夏の日の妄想

夏の日に食べたいものを挙げてみた。
それらは、母が作ってくれたものや自分が作ったもの、誰かが作ってくれたもの、どこかで食べたものが主だが。
本の中で味わったものもある。

ハモのおとし 梅肉とともに
ツルムラサキのおひたし
キュウリのたたき
セロリの南蛮漬け
焼き満願寺
ガスパーチョ
焼きパプリカ
はも皮キュウリ
ミョウガの酢の物
オクラと山芋のサラダ
ズッキーニのニンニク炒め
茹でインゲン 生姜醤油で
ナスの亀焼き おろした生姜とかつお節をのせて
冬瓜と鶏肉のスープ カレー風味のスパイスを効かせて
ピーマンとナスの牛挽肉炒め
ゴーヤチャンプルー
天ぷら エビと枝豆のかき揚げ
    きす
    とうもろこし
    かぼちゃ
すずきの洗い
いかそうめん
お造り ホヤ
    アワビ
    ホッキ貝
    タコ
    剣先いか
    かわはぎ
    アジ
いわしのなめろう
太刀魚の煮付け
黒鯛の塩焼き
うなぎの柳川鍋
うなぎの蒲焼き
カツオのヅケ焼き
鮎の塩焼き 蓼酢を添えて
鮎ご飯
あなごの棒寿司
やまかけそば 夏野菜をちらして
そうめん 青じそ、ミョウガ、錦糸たまごをのせて
生ハムメロン
マンゴスチン
白桃
チョコレートアイスにラムをかけて

食前には白系のビールを
食中にはよく冷えた日本酒を
食後にはマルティニ−ク産のラムを

----------------------------------------------------------------------------------------------
書いているうちに腹が鳴ったので何かを作ろうと思うのだが
暑さの中で買い出しにいくのも億劫になり。
posted by flower at 12:48| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月27日

間違いだらけの旅ガイド

・鞄の中に入れるもの
 お気に入りの詩集
 お酒(できればブランデーかシングルモルト)
 レコーダー
 普段身につけることのない服
 ※逃亡者と云う設定がお好きな方は、カツラと付け髭、サングラスを忘れずに

・乗り物
 最終列車、或いは午前零時の電車

・目的地
 できるだけ知らない場所
 地元臭の強い場所
 古い街並の残る場所

・着いたらすべきこと
 ダメな飲み屋を一軒見つけること
 ダメな看板を見つけること

・着いた翌日にすべきこと
 素敵な喫茶店を一軒見つけること
 素敵なパン屋を一軒見つけること
 古本屋の棚の確認

・宿の選び方
 外壁のくすんでいるもの、造花が飾られているものを目印に
 
注意事項1
 街に着いたなら誰でもない誰かになりきりましょう。
 名前をつけ、誕生日を設定し、新たなプロフィールを作ります。
 できればご両親の歴史までも。

注意事項2
 旅の一期一会を愉しみましょう。
 普段では会うことのできない人と交流し、普段では入手できない情報をもらいます。
 でも、深追いは厳禁です。

注意事項3
 花を買いましょう。
 そして見知らぬ誰かに差し上げましょう。
 梶井基次郎の『檸檬』のように、街に仕掛けてもOKです。

鞄ひとつで知らない町へ。
束の間、寅さんになった気分で。
posted by flower at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月23日

4月23日のメモ

現実が奪っていくものは繊細な想像力である。
圧倒的な想像力だけが世界を越えられる。

行き詰まった現状を前進させるためには過去と向き合わなければならない。
過去を見つめなければ本質は変質してしまうだろう。

思考の中枢には神と悪魔と凡人がいる。
彼らによる円卓会議の結果が現在の地上である。

母なる大地も、母なる海も失われてしまった。
尚も黒い雨は降る。
世界は黒く染まるばかりである。

物質による大都会ほど精神的な荒野を生み出すのかも知れない。

死ぬことに希望を見出す悲しきパラドクス。

偽善的な話ばかりが先行し、憐れみというカーテンで遮蔽された。

国を取り戻すには、われわれは現状の権力を、過去の権力を排除しなければいけない。

むやみに眠ってはいけないと何者かが警告を寄越す。
眠っている間に世界は悪夢に飲込まれていく。

世界の歌から怒りも悲しみも抜かれてしまった。
残ったのは偽善ばかりである。

芸術家に求められている表現は、世界の惨状と混沌である。

世界を殴りつけるだけの力をわれわれは持たなければならない。
でなければ、奪われるばかりだ。

このひと月の間に奪われたもの。
五つの町や村、その地域における田畑。
畜産−−乳用牛870頭、肉用牛1万4500頭、豚6万9000頭、鶏253万羽。
周辺地域の果実、魚介類、野菜、穀物。
関連する生命体の営み。
何よりも世界から安らぎが奪われた。

楽園に最も近い場所を求めていたはずが、気付けば地獄の隣であった。
posted by flower at 09:39| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月03日

三月三日のメモ

三月の空は白々しく僕たちを眺めている。

「どうやらきみのなかにたいせつなものをわすれてきたらしい」
「たいせつなものって?」
「わからない。ただ、あいしあっているというのになぜだかとてもむなしいのさ」
とは、カマキリの雌雄の会話。

「なるほど、悲しみってぐらいだから、染みなんだね」
「じゃぁ、愉しみだってそうじゃないか」
「違うよ。たのしみは、他の染みで、結局は日常に埋没しちまうのさ」

「皮肉なもので、平和を口にする人間ほどときに暴力的なんだよ。安い居酒屋のカウンターにいるだろう? 平和のために、と云いながら喧嘩を売るようなヤツが」
「じゃぁ、平和のためには何をすれば良いって言うんだい?」
「簡単だよ。誰であろうと抱きしめれば良いのさ。スターリンだろうと、毛沢東だろうと、金日成だろうと。抱きしめちまえば誰だって手も足も出せなくなるんだから」

「世界の最先端は成功の延長線上にある」とは科学者A。
「ならば、世界の歴史って言うのは、失敗の上に成立してるんだぜ」と科学者B。

「タイトロープから下りたと云うのに、今度は薄氷の上さ」
「生きている限り安らぎなどないよ」

「肉体を捨てれば魂による結合が可能になると思ったのですが」
「魂だけになったら官能の喜びは消えてしまったの」
とは、崇高な人間の言。

「私はマルクスに問いたい。人間の本質が労働にあると言うのなら、生きている限り働き続けなければダメということじゃないか」

「長い時間殴り合っていたら、ふと殴り方を忘れちまったんだ。右を出そうにも、左を出そうにも拳の軌道が判らないどころか、拳の握り方まで忘れちまった。
残ったのは殴られるよりしょうがないって、唯一の選択肢だった。
それが昨日見た夢さ」とは泪橋のおっちゃんの言葉。

「夏の空は空々しく嘘を吐き、冬の空は白々しく知らないフリをするんだ。まったくもって信用のならん存在だよ」

「そいつは手相まで嘘で塗り固めようとした。
ズタズタに線を引き、強引に運命をラクな方へ持って行こうとしたんだ。
だけど、やり過ぎちまったんだ。いらない線が一本入って、一瞬掴みかけたものまで逃がしちまった。哀れなものさ」とピエロが横たわる空中ブランコ氏を指さしていった。

「四月四日がしあわせなら、三月三日はさんざんだね」
posted by flower at 00:44| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

チョコレート好きな方のためのメモ

メキシコの原住民がカカオ豆をすりつぶして口にするようになったのは紀元前1000年前頃から。

マヤおよびアステカ文明の時代、カカオ豆は究極のステイタスシンボルとみなされていた。
カカオ豆は通貨のように扱われ、豊富に持つ金持ちは、それを用いて「知恵とパワー」を与えるとされるチョコレートドリンクを作った。

コロンブスによる発見のひとつがカカオ豆とチョコレート。

スペインの歴史家ヴァルデスの書簡によれば、100粒のカカオ豆で一人の奴隷を買うことができた。

記録によるとアステカ帝国の皇帝モンテスマは恋の媚薬であると信じ、ハーレムに入る前はチョコレートを調合したドリンクを好んで飲んだといわれている。

1528年、カカオ豆とチョコレートを作る道具がスペインへ持ち込まれ、アステカ独特のトウガラシを効かせた味付けから、口にあったものにするべく、砂糖に代えたレシピが作り出された。

イタリア商人アントニオ・カルレッティにより、スペインが1世紀以上も隠していたチョコレートの秘密が暴かれ、その製法をイタリアに伝えられた。

1657年、 ロンドンに英国初のチョコレートハウスがオープン。上流階級の間で評判となり、たちまちエリートたちの会合の場所となった。

1671年、プラスリン公爵のお抱え料理人の偶然により誕生した「プラリネ」は、ベルギーのチョコレート職人により手を加えられ、モールドで型どったシェルにクリーム・キャラメル・ガナッシュ・プラリネなどを詰めたベルギーのお菓子を指すようになった。

1674年、 ヨーロッパの至る所でまだチョコレートがドリンクだった頃、英国のパン屋たちがケーキのレシピにココアを加えたことから、はじめてチョコレートが固形のものになった。

オランダ人の化学者ヴァン・ホーテン氏は試行錯誤の結果、1828年、脂肪分の低い新しいパウダーチョコレート、現在のココアを開発した。この手法を「ダッチング」という。
またこれによりダークなチョコレート色とマイルドな風味が実現できた。

ミルクチョコレートはダニエル・M.D.ピーター氏が粉ミルクを加えることを思い付いたことにより1879年にできた。
また、ロドルフ・リンツがコンチングマシン(滑らかに練りあげる機械)を作ったことでチョコレートを様々なかたちに加工できるようになった。ともにスイスでのこと。

------------------------------------------------------------------------------------

アーモンドのチョコレートばかりを食べていたあの娘は、気付けば悪魔に連去られてしまった。
午前3時の出来事だった。

チョコレートの食べ過ぎにご注意を。
posted by flower at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月10日

食卓における冬から春にかけてのグラデーション

間鴨鍋
寒鮒の甘露煮
甘鯛の味噌漬け
柚子きり蕎麦
蕪の味噌汁
豆腐と野菜の煮染め
このしろの粟漬け
餡かけ豆腐
小豆粥
すっぽん鍋
すっぽん雑炊
大根の煮物
寒しじみ汁
猪鍋
根深汁
卵酒
握り飯の味噌焼
烏賊の木の芽和え
揚げ入り湯豆腐
白魚と豆腐の煮付け
ふきの辛煮
薯蕷饅頭
手打ち饂飩と鳥と長葱の煮込み
青柳と葱の酢味噌和え
甘鯛の揚げしん薯と野菜盛合せ
大根と油揚げの煮付け
鯛の刺身
ぼらの山椒味噌付け焼き
浅蜊のぶっかけ
浅蜊と葱と豆腐の煮付け
うどの塩揉み
鮒飯
冷たい木の芽味噌かけ豆腐
蛤の吸物
鯛の皮のあぶり焼
草餅
筍の刺身
筍の煮物
筍の付け焼き
筍の木の芽和え
筍御飯
---------------------------------------------------------------------
冬来たりなば春遠からじ
食卓にも知らぬ間に新しい季節が訪れて
posted by flower at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月22日

1月22日のメモ

「気を抜くと人生は失われていくばっかりだ」
「じゃぁラムネでも飲んで、気を補充すればいいよ」

「休息を取りたい? ならば安らぎの国に行くよりないぜ。この地上に真の休息などあり得ない。何故なら、休息すら金儲けの仕組みに組み込まれているのだから」

「選択肢の少ないものほど、案外生きるのがラクだよ。見てみろよ、猫を。
彼らは『猫』と云う存在をまっとうするだけで世界から肯定されるんだ」

「真の情熱的な踊りができる人間てのは、同じくらいの悲しみを宿している。
喜びに溢れたステップなんてのは、千鳥足と同質だぜ」

「神による救命装置が素晴らしすぎて私は死に場所を逸してしまった」

「嘘の話ばっかりを並べて、嘘の御殿を建てて、嘘の幸せを味わう。人類の現在とはそんなものだ」

「もはやA面で恋をすることも稀なことだ」

「世の中の大半は、結局のところ、どうでもいいことばかりでできている」

「我々の人生など悲しき自己肯定の繰り返しだよ」とは勲章をぶらさげた老兵の言葉。

「あまり世の中を見つめすぎると近眼になっちまうぜ」

「私はたったひとつの役を演じるために、様々なことをした。あらゆる角度から客観的に世界を見つめたいと思ったからだ。しかし、結局のところ辿り着いたのは悲しみと虚しさの混じった感情だった。
私は舞台上でのピエロと云う役が終わった今でもピエロでいるよりなくなってしまった」

「食わせてもらう生き方よりも、自分で食い物を見つける生き方のほうが笑い話は多いってもんだな」

「卑屈さほど厄介な病気もないな。骨の髄にまで染込んだ卑屈さを取り除くにはそれまでの倍以上の時間はかかるからな」

「さぁ、朝までふざけよう。
大きな音でレコードをかけて、酒を浴びるほど飲んで。一晩中踊るんだ」

「上手に踊りたければ、もっと悲しみに染まるよりないな。悲しみに染まると云うことは、この世界の真実のひとつとつながることなのだから。
世界とつながることのできないものは、どんなに軽やかに跳ねてみても、世界を表現できないよ」
posted by flower at 09:59| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月20日

猫に関するメモ

アビシニアンは古代エジプトの「聖なるネコ」に似た外見を持ち、イエネコの中でも最も古いものの一つとも言われている。1868年、アビシニア(現・エチオピア)戦争後の帰還兵がイギリスに持ち帰ったネコの「ズーラ」が現在のアビシニアンのはじまり。


オリエンタル誕生のきっかけは、ブリーダーたちがポイントのない白いシャムを作出しようと研究を始めたことに端を発する。その結果、チョコレート、白、ポイント、ブラック、タビーなどカラフルなシャムが誕生。本来のシャムの血統と分けるために、「オリエンタルショートヘア」と呼び名を変えた。被毛の色が違うだけで、性質や遺伝学的に見てもシャムと全く同じである。


ジョパニーズ・ボブテイルは定説では、1世紀以上も前に中国からやってきたネコにボブテイルの遺伝子が混ざっていたのではないかとされている。古くから生息していたネコだが、現在日本で確認できる個体数は少ない。


ロシアの貴族が大切に育てていたネコだと伝えられている。1860年ごろ、ロシアから商業船の乗ってイギリスへ渡ってきたことが世に広まるきっかけであった。第二次大戦後減少したが、 1944年にブルーポイントのシャムと交配させてスリムな体型に変貌を遂げて以来、数も増加。ロシアンブルーという名はイギリスでつけられた。


ペルシャとシャムの特徴を併せ持つヒマラヤンは、アメリカを始め、イギリスやスウェーデンで研究が繰り返され、誕生した。


ブリティッシュショートヘアはローマ時代のローマのイギリス侵略の際にネズミ用のハンター猫として連れてこられ、その子孫であるイエネコからスタンダードが確立された、というのが定説。


ターキッシュバンが初めて発見されたのは1955年のこと。トルコ南東部にあるバン湖で、「泳いでいる」ネコをイギリス人カメラマンが発見。興味を持ったカメラマンは、そのうちの2匹をイギリスへ連れて帰った。


シャムはアユタヤ朝時代の古書「キャット・ブック・ポエムズ」にも登場するタイの秘宝。門外不出だったが、長い間タイのイギリス総領事館に勤めていたゴールド氏が帰国の折に、記念にと王室からペアのシャムが贈られ、世に広まる。


インクーンは、アメリカで初めて自然発生したネコ。その歴史は古いが、ルーツは、移民船に乗ってやってきたネコとアメリカ土着の長毛種との掛け合わせだとか、ロシアなどからネズミ駆除ネコとしていっしょに連れてこられたネコだ、とか言われている。メインクーンは北アメリカの寒さ・暑さといった自然を前に逞しいネコへ変貌をとげ、厳しい環境を生き抜いたことで肉体的・精神的な優れた能力を培っていった。


1961年にスコットランドの農場で生まれた耳の折れ曲がった奇妙な子ネコ(スージーと名づけられた)がスコティッシュフォールドの始まり。このスージーからも2年後に耳の折れたネコが誕生し、興味を持ったロス夫妻が、新たな品種を確立させようと研究・交配を始めた。


ノルウェージャンフォレストキャットは北欧の神話にも登場し、ノルウェーでは「森の妖精」「ノルスク・スカウカット」とも呼ばれる。

-----------------------------------------------------------------------------------------------

私を勾引したあの黒猫は何だったのだろうか。

posted by flower at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月16日

猫のような女だった。
やわらかい白い肌。黒く長い髪。
小さな顔の上に美しく配せられた、鳶色の大きな瞳、紅い唇、すらりとした鼻梁。
長い四肢へと至る魅惑的な稜線の胸、くびれた腰、大きな臀。
それと獣性を感じさせる指先。海に沈んだ夕陽のように真赤なマニキュアがいつも塗られていた。
エジプト種の猫のように、気品を漂わし、無意識に異性を挑発する存在だった。

彼女は気まぐれのように笑い、怒り、泣き、ときに理不尽な言葉を口にした。
「さっきまではとてもあなたを求めていたの。とてもよ。
でも、シャワーを浴びたら眠くなってしまったわ。眠くなってしまうと、もうダメなの。
だから、朝になったら愉しみましょう」
そう言って私の腕に頭をのせて寝るときもあったし、眠っていた私を起こして催促するときもあった。
「抱いて欲しいの。ねぇ、はやく。今日は抱いてくれないと眠れないわ」と。

酔うと決まって甘えてきた。
言葉もいつもより甘えたものだった。幼い少女のように。
そして指をからめ、裸体に裸体を重ね、温もりを求めてきた。
「愛していると言って欲しいの。夜の間、ずっと」と。

私へ施す愛撫のひとつひとつも特徴的だった。
猫が獲物を捕らえたときのように、ちょっと自慢げな顔でいつも私を見ながらするのだった。
「どう、気持ちいい」
大きな瞳は薄暗い中でもこちらの表情を読み取っていたのだろう。
愛らしい顔で私の反応を伺いながら指や口が動いた。小動物を相手にするように。

彼女は上になるのが好きだった。
私の上に跨がり、私からの愛撫もそれで受けるのが常だったが、彼女を下から見るのは嫌いじゃなかった。寧ろ好きな光景だった。
大きくはないが、掌に収まるほどの胸の隆起は美しく、私の手がそれを捉えるとどんなときでも身体が一瞬痙攣し、次の瞬間息が漏れた。
優しく撫でたときでも、激しく掴んだときでも。
紅い尖端を口にしたときは、とくに官能的な吐息だった。

肉体が繋がると、彼女は激しく躍動した。
ときに喜悦の声を漏らし、ときに私を悪戯するような笑みを浮かべて。
彼女から溢れる体液を私の肉体に塗り込めるように。

行為が始まると彼女の口は私の肉体に様々な痕をつけた。
はっきりとした唇の形のときもあったし、薄い紫の痣や歯形のときもあった。
情感の昂りが声となり、唇の吸引となり、獣のように激しく噛む行為となった。
私はその都度、肉体を差し出し、彼女との交歓を肌に刻んだ。

何度も彼女は性感の極みに達し、朝を迎えるまで発情が続くこともしばしばだった。

だが今では、彼女はどこかへ去り、彼女が残していった黒い猫が啼くばかりである。
posted by flower at 09:48| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月08日

瑪瑙(メノウ)
石英の結晶のひとつ。
見つめると真実を語らずにはいられない、と云う伝承を持つ。

琥珀(アンバー)
針葉樹の樹脂が固まり、化石化したもの。
ヨーロッパの魔女は琥珀と黒玉とを組み合わせた首飾りを愛用した。
琥珀は魔力の源泉と考えられる。

紫水晶(アメシスト)
薔薇十字会の会員は愛、受難、熱情、真理、希望の象徴を紫水晶に見ていた。

藍銅鉱(アズライト)
微力ながら精神の浄化作用を持つ。
性的エネルギーを消耗したときに回復を助けるとも云われる。

藍玉(アクアマリン)
古来中国で七宝のひとつの瑪瑙として数えられた鉱石。
瞑想時に助力。

血玉石(ブラッドストーン)
中世ヨーロッパでは、キリストが十字架に磔にされた際、その下にあった碧玉に血が滴り落ち赤の点々ができたものと伝えられていた。
未来をのぞく力を持つ。

金剛石(ダイアモンド)
1728年にブラジルで発見されるまでは、主な産出国はインドであり、1867年から南アフリカでダイアモンド・ラッシュが始まった。
エネルギーを吸収する性質を持つ。
かつては研磨技術がなかったため価値は低かった。

緑玉(エメラルド)
スペイン人がペルーで発見して以降、世界に流通するようになった。
俗信として、エメラルドを身につけた処女が純潔を失った際、エメラルド自身も砕け散ると伝えられている。

石榴石(ガーネット)
中世の頃、紅い色は中に炎が隠されていると考えられていた。
携行すると病気を防ぐと云われ、ヨーロッパでは「ポケットの友」とも云われていた。

月長石(ムーンストーン)
インドでは恋人に贈る石とされる。
相思相愛の男女の未来を占う力を得る為には、満月の夜に口に入れておかなければならない。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

世界に存在する様々な石よりも、私は世界と対峙できる、砕けることのない意志を欲した。

posted by flower at 10:23| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月06日

履歴

1977年11月7日に生まれる。
体重は2800g。
生まれ落ちる際に産道を傷つけ、多量の出血で母は死んでしまう。

幼少の頃は夜には星と月を眺め、昼には空と雲を眺め、草花と語り合い一日を過ごした。
唯一の友だちは悪魔だった。

父から「裏表のない人間になりなさい」と云われて育てられた私は、父の前でだけ裏表のある人間になってしまった。

学習塾へ通わせぬ親の方針により、自身が塾長となり、人類の指導者にならんと決意。
しかし、世間は厳しく、指導を仰ぐのは犬や猫ばかりであった。

小学校の花壇で大麻が栽培されているのを見つけ、近所の子どもたちと燃やして遊ぶ。

中学時代に弁論大会で語るほどに自分が嫌になっていった。
正義を掲げるほどに、虚しさを感じたのである。

高校時代に読んだアラン・シリトー『長距離走者の孤独』の影響で、眼前の世界との決別をする。

18歳の夏、世界は自転と公転により動いているのではなく、観念により回っているのだと悟る。

大学入学後、世界の滅亡を信じ、道楽の道を歩み始める。

大学卒業時に、世界の滅亡が訪れなかったことを怨み、人生を放棄する。

23歳のときに『間違いだらけの自動車選び』を読み自動車を購入。SAAB。
2年の間に3度壊れ、2度牽引される。

24歳のときに別れ際の女性に金銭を持ち逃げされる。

26歳のときに先斗町で神の啓示を受ける。
自己の苦難に満ちた運命を確認する。

28歳のときにエリック・サティの詩集を読み、世界のスケッチの仕方を知る。

30歳のときに自分に流れる体液が赤色であることを知る。

32歳のときに影を失い、新たな実体を得る。

34歳の現在、私は、私であることをときに嘲り、ときに誇りに思う。
posted by flower at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月24日

夢に関するメモ(世界を観測する実践的な手段)

犬(忠誠心、友情)
犬と楽しく戯れていたら、人間関係はうまくいく。犬が地面を掘っていたら、思わぬ援助者が現れる。犬に咬まれたら、友達と思っていた人物に裏切られる。白い犬は、思いがけない幸運の暗示。黒い犬は、健康状態に注意

ウサギ(豊かさ、多産)
幸運が訪れる。ウサギを抱いていたら、妊娠の可能性。野ウサギだったら、幸運到来の兆し。たくさんのウサギに囲まれていたら、願いごとが叶う。  

牛(財産、名誉、豊かさ)
金運が上がる。もし牛を殺したり牛が死んだら、ダウン。

馬(運命、精神的肉体的活力)
一般的にラッキーな夢。馬に乗ってうまく乗りこなしていたら、物事が順調に進む。馬が倒れたりしたら、病気に注意。白い馬なら、大幸運。黒い馬なら、不運。

カニ(防衛本能、トラブル)
ハサミに挟まれたら、人間関係が悪化。

キツネ(悪意、陰険)
楽しく遊んでいたら、金運上昇。咬まれたら、良く無い事が起こる警告。
白いキツネなら、大きな幸運が訪れる。

クジャク(完全、美しさ、優雅さ、自己顕示欲)
クジャクが羽を広げたら、恋愛運が上昇。羽を閉じて歩いていたら、高慢と思われているフシが。

小鳥(恋愛)
小鳥が窓辺でさえずっていたら、自分に思いをよせている人がいる。小鳥が楽しそうに青空を飛び回っていたら、新しい恋に出会う。巣の中に小鳥がいたら、恋人と結婚できる。小鳥が傷付いていたら、人間関係に問題が。

(大きな)鳥(自由、創造力)
大きな鳥が大空を飛んでいたら、幸運が訪れる。巣作りをしていたら、結婚が近い。鳥を捕まえたら、恋愛や金銭面に吉。

猫(女性)
男性が猫の夢を見たら、気まぐれな女性に振り回され、女性が見たら、恋のライバルが現れる。黒猫の夢は吉夢。

白鳥(清純、優雅、成功)
大幸運の夢。白鳥が飛び立ったら、新しい可能性が開ける。白鳥の中に黒鳥が1羽だけいたら、まわりから孤立する。白鳥が傷付いていたら、運気ダウンする。

羊(穏やかさ、従順)
羊がのんびりと草を食べていたら、幸運が訪れる。たくさんの羊に囲まれていたら、人間関係は順調。ただし群れの中を、突っ切って通り過ぎたらせっかくの幸運の機会を逸してしまう。

ライオン(権力、威厳、プライド)
ライオンに襲われたら、人間関係でトラブルが。ライオンと戦って勝ったら、ライバルや困難に打ち勝てる。

ヘビ(強い生命力執念深さ、誘惑)
ヘビに噛まれたら、病気に注意。ヘビに巻き付かれたら、思わぬ誘惑がある。ヘビを捕まえたら、金運上昇。ヘビを殺したら、仕事や経済面で成功。白いヘビなら大幸運の夢。


--------------------------------------------------------------
どうでもよい話だが
私の今年の初夢は、動物園と云うか、混沌としたなかで動物たちが戯れているものだった。
何のメタファーかは判らないが
今年を振り返ると、混沌とした世界をどうにか歩いていた、と云う表現が似合うような気がする。


posted by flower at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月17日

雪に関するメモ

雪は悲しみの上にも降り積もり、真白に消していった。

白銀の世界にいると自分は死の世界に居るような気がする。

田も畑も、家々も。道も木々も、山々も。すべてが白く塗り込められて、真白い存在となる。

雨が人を撃つのなら、雪は人の心に染込んでいく。

雪を固めて作った人形に、私はいつも自分の名前を付けた。
いつの日か雪の人形が溶けてなくなるように、自分の運命もまた消えてしまえばいいのにと、何度も思った。

母は雪の日に私を産み、父は雪の日にどこかへ消えてしまった。

白銀の中に残された足跡は、果たして誰のものであったのか。

雪の花もまた、人を狂わせる。

「死ぬならば雪の日だ。すべてを隠してくれるから」

白い雪が染込んだが為に叔母は白痴になってしまった。

「雨が天の涙なら、雪は白い吐息だよ」

あのひとに関する思い出は雪ばかりだった。

「雪は白々しい言葉さ。だから、後になると泥濘になっちまうんだ」

雪が積もるほどに、あなたへの思いも募るのです。

真白い雪は緩やかに魂を侵蝕する。

雪のような言葉で、私は蒼い世界を閉じ込めたかった。

「雪の日に流す音楽をアンタは持っているのかい」

伯父の死んだ日は紙吹雪のように、雪が舞っていた。
人生最後の晴れ舞台だった。

posted by flower at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。